決算書がカンタンに読めるようになる!ポイントが分かる損益計算書の読み方
利益① 売上総利益(粗利)
【売上総利益】 = 売上高 -売上原価
1つ目は「売上総利益」で粗利とも言われます。
売上総利益とは、商品(モノやサービス)を売って得た利益である「売上高」から、モノを作ったりサービスを提供するために直接支払った費用である「売上原価」を引いて求められる利益のことです。
ラーメン屋に例えると、麺を作るための小麦や、チャーシューを作るための豚肉を買うお金(原料費)、ラーメンを作るための調理スタッフを雇うお金(人件費)、スープを煮込むためのガスコンロにかかるお金(減価償却費)、そのガス代(水道光熱費)はラーメンを作るためには欠かせません。
このように、商品を作るために使った費用が売上原価となります。
上記はラーメン屋に例えましたが、スーパーなどの小売業であれば、店頭に並べる商品を仕入れた時の購入費用(仕入代金)などが売上原価となります。
売上総利益からいろいろな損益を足し引きして最終的には純利益が出てきますので、いわば全ての利益のおおもとです。売上総利益をどれだけ確保できるかによって会社の最終的な利益がかなりの割合で決ってしまうといっても過言ではないでしょう。
売上高に占める売上総利益の大きさは「会社の競争力」「付加価値の高さ」を判断する指標になります。
利益② 営業利益
【営業利益】 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費(販管費)
営業利益は、利益①の「売上総利益」から、商品を売ったりPRしたりするための費用である「販売費及び一般管理費(販管費)」を引くことで求められます。
作ったラーメンもお客さんに食べてもらえないと利益にはなりません。
お店を借りたり、チラシを配ったり、テレビCMを打ったりと”商品を売るための活動”が必要です。
また、店舗やオフィスを構えれば、”維持・補修するための管理業務”が必要となります。このように、販促活動や維持・管理にかかる費用(経費)を販管費と言います。
営業利益は、”会社が本業でどれだけ稼いでいるか”が分かります。
つまり、会社が事業そのものからしっかりと利益を出しているかの指標となります。
利益③ 経常利益
【経常利益】 = 営業利益 + 営業外利益 -営業外費用
経常利益は、利益②の営業利益から「営業外で生じた損益」を足し引きすることで求められます。
例えば、会社のお金を銀行に預ければ「利息」を受け取ることができますが、逆に借りていれば「利息」を支払う必要があります。
また、株式を保有してれば「配当金」を受け取ることができますし、株式を売った場合に買った時よりも高く売れれば「売却益」を得ることもできますが、安ければ損失を被ります。
このように、事業以外で生じた損益を「営業外損益」と呼びます。
経常利益は、事業だけの儲けだけではなく、「財務活動」に関する損益までを考慮した利益となります。
つまり、会社が安定して継続的に利益を出しているかの指標となります。
利益④ 税引前当期純利益
【税引前当期純利益】 = 経常利益 + 特別利益 ー 特別損失
税引前当期純利益は、利益③の経常利益から「特別な事情で生じた損益」を足し引きして求められます。
この特別な事情とは、地震などの災害で受けた損失や、事業を売却して得た利益などの一時的な要因で生じたものを指します。
利益⑤ 当期純利益
【当期利益】 = 税引前当期純利益 - 法人税・住民税など
当期純利益は、利益④の税引前当期純利益から税金を引いて求められます。
これこそが、会社が1年間で得た最終的な利益そのものと言えます。
さらに、当期純利益から株主への利益配分が決まります。この当期純利益に対する配当金の割合を「配当性向」と言って、株主にとって重要な指標となります。
こういった意味で、当期純利益の大きさは株主に対する実りの多さを判断する指標になると言えます。
では、これらの利益から何が分かるのか、次のページで解説します。