決算書がカンタンに読めるようになる!ポイントが分かる損益計算書の読み方
損益計算書とは
今回は「損益計算書」の説明と、読み方・見方について解説したいと思います。
※損益計算書はP/L(Profit and Loss Statement)と訳されるている場合もあります。
損益計算書には会社の1年間の儲けが書かれていますので、会社の成績表と言ってもいいでしょう。
では、具体的にどんなことが分かるのかみてみましょう。
損益計算書には、「売上=モノやサービスを売って得たお金」から「費用=会社から出て行ったお金」を引いて、最終的に得た「利益=儲け」が書かれています。
少し分かりやすくするために、会社の経営活動をマラソンに例えてみましょう。
同じように走ったとしてもマラソン選手と素人ではスピードが全然違いますよね?
これは、マラソン選手に比べ素人は運動量が小さい上に、ムダな動きも多いためです。
これを会社の経営活動に置き換えてみると次のようになります。
売上(運動量) - 費用(ムダな動き) = 利益(進んだ距離)
仮にマラソンの素人が運動量を大きくしてもムダが増えれば進む距離は小さくなってしまします。
つまり損益計算書からは、利益を得るために会社がどれだけ動き、動きにムダが無いかということも読み取れるのです。
実際の損益計算書を見てみる
では、ここ3年足らずで株価がテンバガー(10倍になること)を達成したレーザーテック (6920)の損益計算書を実際に見てみましょう。
上から下に読んでいくと、「売上高」から始まり「親会社株主に帰属する当期純利益」で終わっています。
これが損益計算書です。売上から費用を差し引くことで「会社が1年間で得た利益」がわかることは先ほど説明しましたが、ここに書かれている利益は実は1つではありません。
損益計算書に記される5つの利益
損益計算書には、上から下に進むにつれ段階的に5つの利益が示されています。
その内容は次の通りです。
利益①
【売上総利益】 = 売上高 -売上原価
「商品を売って得たお金」から「商品を作ったり仕入れたりするのにかかったお金」を引いて出した利益
利益②
【営業利益】 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費(販管費)
①売上総利益から販管費(宣伝や広告など商品を売るためにかかったお金)を引いた利益
利益③
【経常利益】 = 営業利益 + 営業外利益 -営業外費用
②営業利益にお金の貸し借りなどの”財務活動”によって生じた損益を足し引きした利益
利益④
【税引前当期純利益】 = 経常利益 + 特別利益 ー 特別損失
③経常利益に災害や工場の売却などの”特別なケース”によって生じた損益を足し引きした利益
利益⑤
【当期利益】 = 税引前当期純利益 - 法人税・住民税など
④税引前当期純利益から税金などのを引いた後に残った最終的な儲け
なぜ利益を5つに分けるのか
会社の成果だけを知りたいのであれば、売上高と当期純利益(最終的な儲け)が分かれば十分な気もしますが、なぜ5つに分ける必要があるのでしょうか?
それは、会社の収支を一くくりにしてしまうと、どこで儲けてどこで損をしたのか原因が分からなくなるのです。
例えば、ある会社の決算で前年の実績が、「売上高100億円、当期純利益10億円」だったものが、翌年は「売上高110億円、当期純利益9億円」だったとします。
売上高が増えたにも関わらず、当期純利益は減ってしまいました。これだけだとなぜそうなったか原因が分からないですよね?
要するに、会社の好調(健全)な部分と不調(ムダ)な部分が、それぞれどこにあるのかをはっきりさせるために、項目を細かく分けて利益を示す必要があるのです。
では各々の利益から何が分かるのか順に見ていきましょう。
次のページで説明しますので、次のページにおすすみください。